普通の今を大切に生きる
娘からのLINE。
卒業ショーの企画メンバーに名を挙げていたのだが、そこで感じた違和感が綴られていた。
元々争うことが苦手な子である。
自分でなくとも、その場に居合わせることも幼い頃からそれはもう異常なほど嫌悪を抱く。
いろんな人間がいる。
東京で、しかも競争を必要とするジャンルの学校だ。
高校の頃から彼女は、今の学校でしたい企画があった。
それは光そのものであり、希望を感じさせる内容で、我が子ながら感心したことを覚えている。
それらをプレゼンする中で、娘の企画は却下された。多数決により決まった。
自分のそれが却下されたことに憤っているわけではなく、採用されたものに違和感を感じたとの連絡。
それは、戦争やアルビノ、LGBTについて攻撃的に悲劇的に取り上げた内容であったと。
そこにいた大多数が、それに賛同し、「いいね」「これ観て、泣きたい!」そんな言葉の数々に傷つき帰宅したらしい。
彼女が言う違和感。
ネガティブな要素をふんだんに盛り込み、自分は安全な場所にいるという優越感。それらを問題視している自己顕示欲。承認欲求。可哀想と安易に決めつけ、それが民意であるかのような錯覚。
震災もそうでしょう、と。その場に生きた人の想い・感情など想像すらできない人たちが善意という悪意を向ける。
わたしは、戦争がどこかで起きていることも自分の目で確かめていないし、どうすることもできない。祈ることしかできない。平和であるよう、今の自分に置かれた環境に感謝しつつ祈る。何もできないことを知っているから。こんな風に、おもしろおかしく槍玉に挙げて声高に正義を叫ぶことが良いこととはどうしても思えない。
娘は、電話口でそう語る。
個人的思想は他で表現すればいいのに、卒業ショーでこんなことになるなんて悔しいともね。
前述の通りいろんな人間がいる。
観ている世界が違うのだ。彼らにとってはそれが真実であり、したいことなんだわな。
わたしはそう告げた。
そして、我が娘はここまで来ていたのかと感心したのだ。
観ている世界が、彼女の世界線は光そのものであり、先の希望に思えて仕方なかった。
こんなことも言っていた。
自分の企画は、不安に感じさせる世の中だからこそ、未来は明るい、それらのひとつひとつを選択し、どの道を進むも自分次第だよ。そんなメッセージを残したかったと。
みんな、目に見えるものばかり信じて、目に見えないものを感じようともしない。こんなに愛は溢れているのに、そこに触れようともしない。
素晴らしい言葉の数々にしばし笑みがこぼれた。なんで笑ってんの!ってあちらは怒っていたが(笑)
彼女と話している中で、先日亡くなられたKANさんの『世界でいちばん好きな人』が浮かんだ。
何度聴いても涙がこぼれて仕方ない大好きな曲だ。
それを娘に伝えた。すぐに歌詞をググったらしく、瞬間泣き出した。
歌詞だけでだめ、泣けてくる。あたしの言いたいこと全部書いてある。と
不確かなことに心を痛めすぎない、今の、この普通の日々を大切に生きることがとても重要なんだよ、そう言って泣いた。
ね…。この世はあまりに曖昧で、不確かなものを誠しやかに垂れ流す。
自分がなぜここにいるのか、なぜ今なのか、憤ることもまあまああるさ。
でもね、それをちゃんと心で捉え、感じているあなたは素晴らしいのさ。
100人いて、99人がそっちに傾いたら、崖から落ちるで(笑)
99人になりたいの?お前さんはさ。そう問うた。
「いやだ。わたしはわたしでいい」そう答えた。
少しずつ変わっていくよ、ゆっくりだけと変わっていく。あなたの光が眩しすぎて見えないのよ。だって彼らは自分のダークサイドにすら氣付いていないのだもの。もっと色濃く闇を感じないと、その光の重要性に氣がつけないものなのさね。娘に、そう伝えた。
今を、普通の今を大切に生きる。
こういうことですよね、皆さん。
片方に偏らず、グラグラとぐらついても真ん中に戻りゃあいいんです。
大枠それをちゃんと捉え、ゆく道を自ら照らし前を向く娘を、それはもう頼もしく思いました。
ワンピースのガープの氣持ちです(笑)(わからない人ごめんなさい笑)
ちなみに、前段の多数決、もうひとり反対した子がいたそうです。同じ東北出身の彼女とその後マックで熱く語りあったそうな(笑)
100人中ひとりはいるもんです。そこが救いだと言っていました😊
この話はどうしても残しておきたかったのです。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。感謝。
PS:この企画、先生からSTOPがかかったそうです。ショーという形にする上であまりに政治的で偏っていると。観ている方が不快に思う内容はいただけない、とのこと。先生がまともで良かった。そう申しておりました(笑)