311〜Vol.11
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心配しているだけで時間が過ぎる。
「心配ばかりのメールだとお兄が心配するから勇氣づけるメールをしてあげて」避難所にいる兄と再会できた妹から連絡が入った。
町民の世話に奮闘し、風呂に入れず、休みもとれず、食事もままならないと聞いた。
トイレに行っても風呂に入れないから、お尻拭きを持ってきて欲しい、そう連絡があった時、義弟のお姉さんの家で水が出たこともあり、一旦ここまで連れてこようとしたらしい。
だが、兄は断った、皆が大変な時に自分だけそれは出来ない、俺は自治体職員だから、と
悲しくて心配で、そして申し訳なさで涙が出た。わたしは、みんなより安全で清潔な場所にいる。
自分を責めずにいられなかった。わたしも兄も誰も悪くないのにね。
せめて元氣づけられるようにと、娘の写真を送った。
当時未婚の兄は娘をそれはそれは可愛がっていたから。
「○○は元氣だよ、○○(兄の呼び名)無理しないでね。また遊ぼうね」
何度送ったかわからない。
福島第1での爆発が続いた。
とても今の福島には安全性が見当たらない。
両親・妹家族・兄が心配でたまらない。頭がおかしくなりそうだった。
埼玉の家には良くしてもらっているが、ご飯が喉を通らなかった。
笑わない娘が、この家の子どもたちに徐々に心を開いていくような氣がしたのが救い。
昼間、近くの郵便局に出向くが、計画停電で営業時間が決まっており払い戻しが難しいとの事。いつなら可能か聞いて帰宅。
自分の記憶で覚えられる金融機関の取引を電話で止めた。町はもはや無人の町だ。窃盗の危険に晒されていた。現に、爆発と当時に多くの輩が現地に行き盗みを働いた。反吐が出る。
建てたばかりの自宅が心配だった。家が壊されていないか。そうだインターネットも解約しないと。お金が勿体無い。当然PCも自宅だから使いようがないもの。
続