311〜Vol.27
娘が新しい学校に通う。すぐ慣れてくれるだろうか。心配だった。
最終確認の為どこをどのように通って学校に向かうようになるのかチェックした。登校班の時間、ルート、子供の足で2、30分かかる。緩やかな坂を上って行く様になる為、かなりの運動になるはずだ。大丈夫かな…。心配しかならない。
新学期の挨拶として、転校生は全校生徒の前で自己紹介をしなければならないという。
夜、避難先の家でみんなの前で練習した。
新学期当日、うちは転校生なので、親同伴で学校に行った。先生と挨拶を交わす。女性でサバサバした感じの先生だ。
挨拶はうちのが一番小さいので、一番だった…。それは校庭で行われた。遠巻きに夫と二人見守っていた。
立派だった。声も大きくはっきりしていたし、ちゃんと「福島から来ました。○○○○です。よろしくお願いします」
夫と二人…涙が出た。立派だったよ…。偉いよ。なぜこの状況に娘がそこに立たされているのか、それも悲しかった。
娘は新しい小学校でとても良くして貰っているようだった。すぐにたくさんの友達が出来、何より登校班が一緒のつかさちゃんと同じクラスであったことは娘にとって、とても大きな幸運だった。
初めのうち低学年は、早く帰ってくる為、わたしがよく大きい通りまで迎えに出た。
つかさちゃんと彼女の家の前で別れると、この頃から、埼玉の家には内緒で、近くのスーパーでドーナツを食べたりした。娘もわたしも埼玉の家にいるのが苦しくなってきていた。息抜きのドーナツやスタバのラップサンドは、二人だけの秘密だった。
この日、太鼓の先生から震災以来はじめて連絡が入った。神奈川にいるらしい。
氣になっていた太鼓メンバーの安否も確認できてホッとした。
「3月12日町で行う予定だったコンサート。こんな形で離れ離れになってしまった子どもたちの心を繋ぐために東京でコンサートを開けるよう準備している。だから○○ちゃんも心が負けてしまわないように」との連絡。嬉しかった。涙が出た。皆無事であることに感謝した。またいつか会える。きっと会える。
続