311〜Vol.7
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朝、妹がわたしの娘を連れて買い出しに出た
もしかしたら、市内で開けてくれている店があるかもしれない
着のみ着のまま何も持っていなかった
風呂にも入れず、せめて下着を変えたかった
夫がずっと、携帯でかけ続けてた埼玉の親戚にやっと繋がった
「福島のご両親も連れてすぐに来い」そう言ってくれた
両親に話すも、兄を置いては行けないと言う
義弟に話すも、自分の両親を置いては行けないと言う
分かる、分かるのだけど、やっとあの日から無事に再会できた
わたしは、皆と離れたくないと泣いた
だが、一号機が爆発した今、一刻の猶予も残されていない
「離れるのは嫌だ!」「○○(娘の名前)の事を考えろ!」夫に怒鳴られ、涙が溢れた
(このブログを、当時を振り返り泣きながら書いている)
「今、お前が決めたことにお母さんは何も言わないよ、恨まない、責めない、○○(娘)の事だけ考えなさい」母が、静かにそう言った
父、母、兄、妹、離れたくなかった
離れたら、今度いつ会える、会える保証などない
一人一人抱きしめた
初めてかな・・・父を母を抱き締めた
父が小さくて・・・泣いていた
「またいつか必ず会える」そう言った
買い出しに行っていた妹が戻ってきた
「行くのか・・・」そう彼女が泣きながら口にした瞬間、抱き締めた
大事な妹、離れたくない、声を上げて、泣いた
「埼玉で待ってるからね」そう伝えた
「○○(娘)を怒らないであげて、○○は大人だから、きっと何でもわかってしまうから」妹が泣いた
異変を察した娘がわんわん泣き叫ぶ
「○○ー!(姪の名前)○○ー!」姪の名前を叫ぶ
姉妹のように姪を愛していた娘
当時1歳になったばかりの姪も娘が泣くから、泣く
戦時中は、こんな別れがたくさんあったのかな・・・まるで戦争だ
周りにいた大人たち全員が泣いていた
いつ会える
二度と会えないのでは、そんな別れだった
続