311〜Vol.13
あくる日、妹たちが横浜へ発つ。
今度いつ会えるのか、わかるはずもない。拠点がないのだもの、わたしは根無草だ。実家も無いのだから。
一週間後の自分なんてわからないどころか、明日の自分さえ見えなかった。
朝から娘がぐずる。うんうん…わかるよ。ただただ悲しくて、寂しい。身を削られる想いだった。
どうか元氣で、また笑って再会できる日まで元氣でいて。
突然ふるさとを奪われ、今、埼玉にいる自分。当たり前の日常ってなんなんだろう…。わたしたちあの日以前何を考え、何を大事に生きていた?夢は?先を見て暮らしていた?全てがゼロ、いやマイナス。自分が何なのか全く見えなくなった。
震災前に夫の実家から玄米をもらったのを車につけっぱなしだった。それを妹に渡す。(埼玉に一度渡したのだが、米農家もやっており、必要ないと返されていた)横浜の叔母がみんなを大事にしてくれることを祈った。
埼玉のおばさんに「妹の旦那さんってなんなの?○○(従兄弟の旦那)がせっかく分けてやったのに、お礼も言わず!情けなくて涙出ちゃった!」そう言われた。
言いましたよ、お礼。元々声が小さい人なんです。そして、何より、とても疲れていたのです。ごめんさい。
傷ついた…。仕方ない、うん。そこは言われても仕方ない。
だが、ここでもわたしは色々学んだのだよ。
人も物事も一面だけでは語れない。言わないだけで深く深く傷を負う。そんな瞬間は誰にでもある。
皆、みんな、傷つき、疲れ果てていた。
逆なら、わたしが逆の立場なら、こう投げかけはしまい。そう誓った。
(らしいw手帳に殴り書きしてあった)
ギリギリのガソリン。
無事に着くように。
泣きながら、見送った。
続