311〜Vol.14
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娘の学校が心配になってくる。兄からも子どもの学校だけは早めに手を打ってあげろとメールがきていた。
分かっている。埼玉の子どもたちにもやっと慣れてきたようで、できれば同じ学校に通わせたかった。
娘が構えず、すんなり馴染めれば有り難かった。埼玉の行政に相談しに行く。埼玉県○○郡○○町役場。
この町にとってわたしたちが、原発避難者受け入れ初となったようで、皆にジロジロ見られる。
住むところは、とりあえず叔母の家になる。町営住宅は叔母の家の付近には無かった。とりあえず落ち着くまで…。違和感はあったが、この時はこの好意にすがるしか無かった。
次から次へと即断即決することばかり、無理があるのだ…。疲れていた。それに娘の精神状態が心配だった。
前のように、笑ってくれない。
この町には二つの小学校があり、娘は叔母の孫たちと同じ小学校に入れる事になった。
突然の避難になってしまい、ランドセル等の学用品は福島の小学校に全て置いたままだった。こんなことになるなんて先生も誰も予想していないからね。当時小学校1年生。義母に買ってもらったハートの刺繍の入ったランドセルは彼女のお氣に入りだった。
この町の職員で、春から中学校に上がる娘さんがおられる方が、声をかけてくださった。
ランドセル、それから鍵盤ハーモニカもあるから、ぜひ使って欲しいと。有難い。
帰宅後、娘に話をする。埼玉の小学校に行くことをね。「行きたくない」そう言って彼女は泣いた。「○○は、○○小学校(福島の学校)の1年生だもん!」泣き叫ばれた。
そうだよね…どうしよう、かなり傷つけてしまった…わたしは動揺した。わたしが泣いてはダメだと思っても涙が出た。
たった7歳の小さい子どもでも、わたしたち大人同様、自分の学校・家・友だち・故郷に愛着愛情を持っていたのだ。どうしてくれるのか、改めて東電、国に怒りが込み上げた。
焦らず様子を見よう。本人が嫌なら行かなければいい。今この時間を大事にしよう。娘の心がこれ以上壊れてしまわないよう。学校など、いつでも取り戻せる。その晩夫と話し合った。
それにしても耳鳴りが…痛い。ズキンズキンと痛かった。
続