自分

帰還

何年も避難生活をしてきて、ずっと自分というものをどこかへ置いてきた

いわゆる、当たり障りのない良い子となっていた

会社、子どもの学校

特に外部と接触した時、避難していると揶揄されないよう氣をつけた

望んで?違う

多くの差別を目に耳にしたから

県内でもそれはあった

妬み嫉み

自分を守る、愛する人を守る、その為に口を噤んだ

自分の出身地も言えない、出かければ国訛りも封印した

わたしはわたしの意志とは関係なく、幾度となく故郷を捨てざるを得なかったのだ

被災した人の中に、少なからずわたしと同じ感覚の人はいただろう

(お金持ってるんでしょう・・・反吐が出る)

長年そうした生活をしていると、当然無理が祟る

声が出なくなった

出づらさは何度となくあったが、ある日完全に出なくなった

噤む、口を禁じると書いて噤む

言葉を失うはずだ・・・そう、わたしがしたのだもの

「何をそんなに我慢しているの?」友人が聞いてきた

わたしは答えた

「故郷に帰りたい」

娘が高校を卒業するまではここにいよう、そう夫婦で決めていた

だが、友人のこの一言で、わたしはわたしに勝手に課した重荷と向き合った

もう、楽になってもいい

声を失って初めて、いわゆる(呪い)を解くことを己に許したのだ

その日のうちに、夫に話した

「帰りたい」

手術の日程が決まって、最悪この先出なくなることも覚悟したが、運よく日常会話に支障ないまでに回復した

退院してすぐ、帰還への準備を始めた

投稿者

mie.208.1119@gmail.com
はじめまして、みーです Twitterで言葉を吐露し出してからたくさんの出会いがあり、今ここ、ブログに辿り着きました 日々に感謝 出逢いに感謝 https://twitter/208Mie 言葉は言霊 一つでも拾ってくれたら嬉しいです

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自己肯定感

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