311〜Vol.5
町で最初に指定した避難所である中学校はいっぱいで入れない
もう一つの指定された小学校に行ったが、やっとの思いで駐車場に車を停められたものの体育館内は、町民と市民の被災住民でごった返しており、とてもじゃないが、いれない・・・
義弟が「市内にある、姉のところへ行きませんか」
幼い子どもが居た為、お世話になることを決めた
夫は、職場の方と昨夜から炊き出しに奮闘しており、同僚もここまで一緒に移動し、カレーを出すつもりでいた
お別れを伝えた時、皆、抱き合って泣いた
夫は、いまだにこの時の感情を話してくれる時がある
自分だけ、自分だけ逃げる、みんなに申し訳ない、そう思っていたらしい
運転する彼は、ずっと泣いていた
途中コンビニに寄る、もしかしたら水が買えるかもしれない
そんな期待はすぐに壊された
何も売っていない
娘がお腹をすかしていたが、与えるものがない
別れ際、夫の同僚が娘にくれたチョコをいまだに忘れられない
義弟のお姉さん宅に到着
暖かく迎えてくれた
畳の上に横になれたという安堵感で涙がこぼれた
これからどうなるのだろう
義弟の親戚含め、一時期20人くらいは居ただろうか・・・
水が出ないので、義弟と夫は水をもらいに近くの公園に何度も通った
兄と連絡がつかない
ずっと携帯を鳴らすが繋がらない
何かしら食べただろうか、眠れているだろうか
海沿いに家のあった叔母にも連絡がついておらず、そこも氣がかりだった
色んな価値観の人間との共同生活、テレビしかなかったから、テレビで情報を入れようにもなかなか集中できない
このままでは義弟家族・義弟の親戚の方、みんなに迷惑がかかる
何より、父母や家族の精神が参ってしまう
後から聞いたが、夫は次の避難先を必死に探していたようだ
そしてテレビに映し出された福島第一原発一号機の水素爆発の映像
母から悲鳴が上がった
続